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日本人女性が、ドイツの醸造責任者! 業界向けワインセミナーを受講しました!

2023/06/16

先日、輸入商社(株)稲葉さんの、業界向けワインセミナーに行ってきました。
コロナ禍ではセミナーの開催がなかったため、数年ぶりです。

 

というのも、(株)稲葉さんのセミナーの講師は、ワインの造り手。

海外から造り手を招くのに、コロナ禍は厳しかったのだと思います。

 

◆講師はドイツの日本人女性!

 

今回のセミナー講師は、ドイツの醸造所「ベルンハルト・コッホ」(以下コッホ)で働く、日本人醸造家「坂田千枝さん」でした。

 

 

日本人女性が、遠いドイツでワイン生産に直接たずさわっていることに、まず驚きです。
しかも、2013年から10年間というキャリア。
「醸造責任者」という重要な役割を務めていらっしゃいます。

 

◆驚愕のバイタリティ!

 

プロフィールによると、17歳で農業高校から研修でドイツへ行き、一面のブドウ畑に感銘を受けて、高校卒業後の2003年にはドイツに渡ったとか。

 

ドイツの職業訓練校で学び、ドイツ、オーストリア、南アフリカのワイナリーで研修を受け。
ドイツの国立栽培醸造学校で国家資格を取得して、現在の醸造所コッホに就職されたそうです。

 

…驚愕のバイタリティですね(^^)

 

◆高評価の立役者!

 

坂田さんが働く醸造所コッホは、ドイツ・ファルツ地方において、今やトップ生産者。
著名なワインガイド「ゴ・エ・ミヨ 2023」で赤4房、「ヴィヌム 2023」で4星の高評価を得ています。

 

そのようにコッホの評価を押し上げた立役者の一人は、間違いなく坂田さんだと思います。

 

コッホは地元で愛されるワイナリーであり、生産量のほとんどは国内で消費されています。
そんな中での、唯一の輸出先が日本であり、(株)稲葉さんが2019年から取り扱いを始めたのだそうです。

 

◆試飲は8種類

 

坂田さんの解説を聴きながら、白4種&赤4種を試飲しました。

 

過去にはドイツワインといえば、白赤ともに、甘口のイメージでしたが…
今回のコッホのワインは、どれもシッカリした辛口です。

 

白は、ドイツといえばこのブドウ、という、リースリング種。
酸味の強さと、フレッシュな果実味が特徴です。

 

藤田屋にもある『リースリングZ』は、限りなく酸が高く、糖分は低い造り。
ともすれば、固くて酸っぱいと感じるくらいに発酵を進めてあります。
「本当のリースリング好きに」飲んでほしいワインだそうです。

 

赤のブドウは、シュペートブルグンダー種。
別名ピノ・ノワールといえば、ワイン好きならお馴染みのブドウ品種です。

 

近年はドイツのピノ・ノワール種(以下ピノ)の赤ワイン評価が、「とある理由」から、急速に高まっています。
ピノ単一といえば、フランスのブルゴーニュですが…
ドイツのピノも、やや傾向は違うものの、キレイな酸味の美味しい赤ワインでした!

 

◆理由は温暖化

 

先ほど、「とある理由」とぼかした、ドイツのピノの高評価の理由。
この一因が、実は、「地球の温暖化」なのだそうです。

 

坂田さんも、20年ほどドイツにいる中で、この変化を実感しているとか。

温暖化によって、ブドウの生育状況が変化しており、昔はなかなか完熟しなかったピノが、近年は完熟までいくようになったそう。
結果、赤ワインの品質が安定し、さらに高品質になったとか。

 

もちろん、温暖化は社会問題なので、手放しで歓迎はできません。
ドイツワインにおいても、伝統的なアイスワインや貴腐ワインは、温暖化で生産が難しくなった一面もあるそうです。

 

しかし部分的には、こうしたプラスの影響もあることが、意外でありつつも、納得のいく理由でした。

 

◆世界にも影響

 

これはセミナー内での話ではありませんが。

ドイツに限らず、世界のワインにも温暖化の影響があるそうです。

 

品質が向上したといわれるのは、主に冷涼地。
フランスのシャンパーニュ、イギリス、ノルウェー、フィンランド、アメリカのニューヨークなど。

ワイン用ブドウの生産向かないとされていた地域が、適地に変化してきているそうです。
一方で、温暖地には悪影響の可能性もあるとか。

 

ワインの伝統が深い、フランスやイタリアなどは、法律で生産地が格付けされています。
フランスのボルドーなど、1855年の格付けが現代にまで続いている例もあります。

 

しかし、温暖化の影響で、こうした適地が従来通りの品質を保てるのか、という疑問の余地はあります。
そのため今後、格付けを考え直さなければいけないという議論もあるようです。

 

◆変化には対応が必要

 

話が脱線しましたが、坂田さんのドイツワイン造りについて。

ブドウの出来が良くなったからと、手放しで喜ぶだけではいけません。

ブドウが変化したということは、ワイン造りも変化するということ。
造り手側には、対応が必要になるのです。

 

ブルゴーニュスタイルで造る高価格帯のピノは、かもし発酵のタイミングをはかるため、朝から晩まで、何回もテイスティングを繰り返すそうです。

 

坂田さんによれば、最近のワイン造りには「難しい年に、美味しいワインを造る」ことが求められているといいます。
ブドウの出来の良し悪しに左右されないような、安定感が求められているのでしょうね。

 

◆自然との戦い

 

思えば、ワイン造りは自然との戦いでもあります。
ブドウは農作物ですから、生育環境は毎年違いますし、都度対応しなければいけません。

 

ブドウからワインへの醸造にも、職人技的な感覚が、どうしても必要になります。
これも、気温や酵母菌が関わるなど、自然の要因が絡んでくるからです。

 

こうした中でも、日本人の坂田さんが、遠いドイツの地で美味しいワインを造り続けている。
そのことが、なんだか誇らしく感じられました。

 

以上、勢いで数時間かけて書いてしまった、セミナーのレポートと感想でした(^^;

 

◆次回ご来店のとき「読んだよ」の声が聞けると うれしいです(^^)
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