藤田屋のマメ知識 Vol.46【人が「味わう」のは なぜ?】
2023/05/19
カテゴリー店長のつぶやき
藤田屋のマメ知識(マメ語り) Vol.46
【人が「味わう」のは なぜ?】
今回は「味わう」を考察してみようと思います。
人が「味を感じる」のは なぜか?
その理由を追えば、お酒の美味しさの根拠や、味わい方の大切さにも つながります。
◆
いつも、当たり前に食べて、当たり前に味を感じている私たち。
でも「味わう」ことは、人が進化の中で手に入れた能力の一つです。
だからそこには、生きるため、種を存続させるための理由があるはずです。
それは「口中で、食べられるものを区別するため」だと思われます。
◆
腐った物を食べると、お腹を壊しますよね。
だから、腐った物に含まれる成分が口中に入ると、人は「味わい」として不快に感じます。
(その精度は、完ぺきではありませんが…)
飲み込む前に気がつけば、お腹を壊す前に、吐き出すことができます。
だから、口に入れたときに、味わいを感じるのです。
◆
これを逆に考えると、「美味しい」と感じる理由も分かります。
人が生きる上で、接種するべき栄養素があります。
糖分、塩分、タンパク質(≒アミノ酸)などなど。
これらを多く含む食品を、「味わい」として美味しいと感じる。
だから積極的に体に取り入れ、結果、生命維持ができます。
(ただ、摂取量のセンサーは鈍感なようで、食物が豊富な現代では、接種しすぎになりがちですが…)
◆
その食品が、どのような成分を含むのかが「美味しい」を決める大きな要因です。
お酒の美味しさだって、実はそうです。
発酵の過程で生成される、様々な「酸」。
人にとって必要な酸が、豊富な種類で、適量に含まれていれば、それを「美味しい」と感じるのです。
◆
実は、発酵と腐敗は、どちらも微生物による変化という意味では同じもの。
それが人にとって有益なら「発酵」、逆なら「腐敗」と言います。
お酒を醸造するうえで必要なのは発酵であり、腐敗に近づいては もちろんいけません。
「いかに美味しく感じる成分だけを、発酵によって生み出すか」というのは常に課題です。
また、不快に感じる成分ができないように、コントロールする必要もあるのです。
◆
ここまで、成分による味わいの話ばかりをしてきましたが、実際は、それだけで味わいが決まるわけではありません。
腐った食べ物の例に戻ると。
例えば、腐った見た目(視覚)や、腐ったニオイ(嗅覚)は、感じ取れますよね。
口にいれたとき、異物感を感じたり(触覚)、そしゃく音(聴覚)に違和感があったり。
そうしたことでも、異常を感じ取れます。
このように、五感から得た情報を、脳が総合して判断し、味わいは決まると考えられます。
(ただし、感覚によって、味わいに与える影響度の大小はあると思います)
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特に鼻で感じる「香り」は、味わいへの影響も大きいです。
試しに鼻をつまんで何か食べてみると、ほとんど味がしない感覚になると思います。
味わいに、香りが大きく影響している証拠です。
また、味わいが「口中で、食べられるものを区別するため」のものだとすれば…
口中に近い感覚器である、舌(味覚)や鼻(嗅覚)の影響が大きいのは、道理にかなっています。
◆
一般には、味=味覚=舌のイメージが強いため、香りは、その実情よりも軽視されていると思います。
店長が、これまで何度も「含み香」の大切さをお伝えしているのは、このような理由があってのことなのです。
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